──まずは招待に応じていただきありがとうございます。軽く自己紹介をお願いします。
【いちげき(以下「一」)】いちげきだ。『「強さ」だけを追求し、最高の一撃を極めるバトルスタイル。鍛え上げられた強靭な肉体を使った攻撃を得意として』いる。
【れんげき(以下「連」)】れんげきです。よろしくお願いします。『予測不可能な動きで敵の虚をついて、柔軟で鋭いワザを浴びせかけるバトルスタイル。アクロバットで自由自在な攻撃を、臨機応変に繰り出していきます。』
【フュージョン(以下「フ」)】僕がフュージョンだ。『この世に存在するあらゆるものを戦いに取り入れ、「新しい強さ」を生み出すバトルスタイル。決まった型にとらわれず、それぞれが最強と信じて磨き上げたワザで戦う。』
──バトルスタイルの特集ページ、最近まで更新されてたんですね。
ひとまず本対談の趣旨を説明したほうがよいでしょう。この架空の対談はポケカの親にあたるマジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)公式のカラーパイ擬人化記事のパロディです。カラーパイとはカードゲームのプレイの多様性に大きく貢献する、色ごとに存在する特徴とその背景にある思想を指します。例えば赤という色はMTGのゲーム上では速攻クリーチャーと火力に優れた色であり、赤を使うことで手早く勝負を決めるアグロ戦略が容易になります。
これだけではただのゲームの都合ですが、ここに赤という色に付随する炎・自由・破壊・衝動などのイメージが加わることで、「赤単色の、自由を尊ぶ粗暴な紅蓮術師」のようなキャラ造形が可能になるとともに、「俺はせっかちで考えるのが苦手だから赤単デッキを握るぜ!ケヒャヒャ!」といったふうにプレイヤーのロールプレイをも後押しします。とはいえカラーパイの後ろにあるのはある種強引に5つに切り分けられたむき出しの思想であり、その総体を捉えるのは困難です。そこで公式が出している、各色のカラーパイを擬人化してインタビューする記事が理解の助けになるんですね。
そこで今回はこれをポケカでやってみよう!という企画なわけです。ポケカにおいて色に相当するものはタイプなわけですが、これが……
【フ】タイプによる特徴がそんなにないよね。フュージョンのポケモンは闘以外全タイプに存在するけど、みんな仲良くやっているよ。
【連】れんげきポケモンは悪タイプ以外、全タイプに広がっています。それで連携に乱れが生じたことはありません。
【一】いちげきポケモンは水タイプ以外だ。俺たちはあんたらほどつるみはしねぇが、まあ、分裂もしねぇ。
──そうなんです。MTGの陣営というのはふつう2色、多くて3色で表されます。色は個人の内面を強く規定しますから、それ以上色を増やすと収拾がつかなくなってしまうんですね(もちろんゲームプレイ上での問題もあります)。対してポケモンのタイプはそのポケモンの精神的性質までは表しません。ましてやゲームの1~3タイプを無理やり1つにまとめたポケカのタイプが、ポケモンの内面を決定するとは絶対に言えません。
でもバトルスタイルは違います。それぞれの所属する陣営によって、性能はもちろん、ポケモンの内面に一定の方向性が見られるように思えたんです。そういうわけで今回はタイプではなくバトルスタイルの皆さんを擬人化してみたわけですね。
※形式上、非公式な解釈を断定形で掲載しています。何らかの参考にされる場合は各自での確認をお願いします。
まずは軽い質問から行ってみましょう。皆さんの攻撃技の特徴はなんでしょう?
【一】攻撃技!いちげきの攻撃技の特徴はなんといってもその大きな数字だ。キョダイイチゲキ270ダメージ、キョダイマルノミ250ダメージ……こいつらにいちげきエネルギーでさらに火力を盛る。効果貫通がつきやすいのもポイントだ。


そしてそれは主役級のポケモンに限った話じゃねぇ。いちげきのポケモンはちょっとした進化前に至るまで、次ターン技使用不可、反動ダメージ、とにかく素点のデカさを志向した技で溢れているんだ。


【連】そして重すぎるエネコスト、でしょう?れんげきはいちげきと違って軽いコストが持ち味です。いいですか、ポケカはサイドを6枚取るゲームなんです。相手がちんたらエネを貼っている間にしっぷうづきを連打、これだけで勝てるに越したことはありません。そしてキョダイレンゲキは勝利に近づく最短経路を私たちに示してくれます。目の前の相手にこだわらないのがれんげきです。ワザを使わずにダメカンを乗せられればさらに良しですね。


全体を俯瞰して見れば、ベンチ狙撃・自身とベンチとの入れ替え・コインを複数回投げてオモテの数ダメージあたりが個性といえますね。水の流れは場所を選ばず、常に変化し、絶え間ないものです。



【フ】うーん、公式サイトによれば僕たちのモットーは「決まった型にとらわれず、それぞれが最強と信じて磨き上げたワザで戦う。」だし、バシッとは決まらないね。傾向がないのが個性、じゃダメかな?
【一】待ちな小僧、聞いた話じゃ今をときめくフュージョンデッキはテクノバスターを乱射してるってことじゃないか。あの次ターン技使用不可は俺、いちげきの個性だろう?何か言い訳しとかねぇとフュージョンってのは他陣営の技をパクるのが個性なんだなって思われちまうぜ。
【フ】誤解だよ!あのワザはもともとゲノセクトが持っていたものなんだ。それをゲノセクトが最強と信じて磨き上げている以上、あれはフュージョンのワザだ。
──テクノバスターの初出は伝説の鼓動ですね。テクノバスターの「持ち物によって性質が変化する」要素が外付けのどうぐに含まれたせいで登場が遅れた感じがします。ゲノセクトの専用技を変哲のない効果で今登場させるというところに、ゲノセクトをこれ以上フォーカスすることはないという悲しい諦めが見えていたんですが、意外とすぐ主役級のゲノセクトが出ましたね。



【フ】後で話すけど、ゲノセクトはフュージョンのコンセプトにかなり合ったポケモンなんだ。フュージョンらしく自らの技を磨き上げているんだね。
【一】でもテクノバスターってゲノセクトが改造されたことで初めて使えるようになった技だろ?自らの肉体と無関係な技を最強と信じて磨き上げる……虚しくならないのか?
【フ】フュージョンゲノセクトは暢気だからね。なんかブレイクダンスしてるし。

【一】ブレイクダンス!そう、俺はお前らのそこが気に入らねぇ!どうもお前らは遊んでばっかに見える。鍛錬を何だと思っていやがんだ。
──鍛錬の話が出ましたね。みなさん、普段どのような鍛錬をなさっているのか、カードイラストからわかる範囲で教えていただけませんか。
【一】よしきた。いちげきの基本はたくましい肉体だ。そのためには飯だな。多く食えばそれだけ強さになる。


【連】妙ですね?剣盾2年目に登場した食事が関係しているカードはコック、当たりつきアイス、からくちスパイシーカレー、そして我らがれんげきのズミ、以上でした。あれだけイラストで食事を推しているのに、バトル中には食事なさらないのですね。




【一】バトル中の食事とは、すなわち回復だ。頑強な肉体があれば回復に頼らずとも攻撃を受け止められる。いちげき唯一の回復効果はメルタンのてつぶんせっしゅだが、メルメタルになれば回復なんかしねぇ。鋼の体で特性持ちからの攻撃を受け付けないのさ。丈夫な身体、これこそがいちげきだ。


【連】私の回復効果はズミを含めて4種と、少なくはないですね。しかしズミを含めて食事の描写が一切ありません。私って確かに回復を個性にしていますが、一方であまり食事に頓着しないタイプだったんですね。ケーキ屋で働いたり、食材でバランス感覚を養ったり、食材を切ることで技術を高めたりはしますけど。



【一】その節はどうも。ユキノオーが喜んでたよ。
【フ】仲良しさんなんだね。
【連】ええ。私といちげきさんは求める強さこそ異なれど、古きを重んじ、ストイックに強さを求めるなど、多くの点で共通しています。ですので特に敵対などはしていないのですよ。
【一】だから互いへのメタカードなんかは存在しないのさ。高め合う関係でいたいからな。
【フ】へぇ。
──フュージョンさんは回復に対してどんな立ち位置でしょうか?
【フ】僕の回復効果はサクラビスのドレインキッス1種だけだね。もともとの枚数差を考えると、特に回復を嫌っても好いてもいないってところかな。

──食事の描写は?
【フ】一切ないね。強いて言うならポッドとデントとコーンの背景になってるサンヨウシティジムが飲食店なのと……パワータブレットだけ、かな?


【一】現代っ子だなぁ。
──貴重な日々のお食事の話をお聞きできて嬉しいです。鍛錬に話を戻しましょう。いちげきさん、食事の他にはどんなトレーニングを?
【一】フィジカル重視ってところだな。重いものを動かしたり持ち上げたりするのはいちげきポケモンがよくやる鍛錬だ。とにかくタフな身体を作ることを目標としているんだな。とはいえそれだけでもない。皆で集まって一つの型を練習することもある。れんげきみたいにやたらと片足で立ってばかりじゃねぇけどな。




【連】やたらと片足で立ってばかりで悪かったですね。トップであるれんげきウーラオスのキョダイマックスが片足立ちなんですから仕方ないでしょう。それにれんげきのポケモンはバランス感覚を尊ぶんです。テッポウオと海外先行登場のオクタンとかが分かりやすいですかね。


珍しいのはメッソンで、滝行っていうのはバランス感覚や器用さよりも身体と精神の強靭さを高める修行なわけですよ。あんまり私っぽくないなーって。いちげきさん、鍛錬のメニューに取り入れてみませんか?

【一】悪くない修行法だとは思う。だが俺たちゃ水はどうもな……。
【連】そうでした。れんげきウーラオスさんが水タイプだったことから生じた歪みですね。
【フ】鍛錬かぁ。オドリドリしかやってるの見たことないなぁ。しかもあの人どっちかっていうとインストラクター側だし。

【連】おや?フュージョンのポケモンが一緒になって歩いているところをこの前見かけましたよ。あれはトレーニングではないのですか?

【フ】見ての通り和気あいあいと遊んでるだけだね。僕らは集まっての鍛錬はしない。普段も音楽をやったり絵を描いたり、ダンスをしたり、好きなように過ごしているんだ。そうすることで各自の個性を伸ばし、「『新しい強さ』を生み出す」、「それぞれが最強と信じて磨き上げたワザで戦う」、それが僕らだからね。



【連】なるほど。れんげきのポケモンが集まるのはたいてい鍛錬の時ですから、そこが大きな違いになりそうですね。チャーレムさんがパック内のほぼ全れんげきポケモンを集めたときは壮観でしたよ。

ヨワシさん・ジガルデさん・レックウザさんは住所の関係で来れませんでしたが、こういった催しのおかげでれんげきは他のれんげきポケモンの技を参照して強くなることができるんですよ。あとはフュージョンさんと同じく場のれんげきポケモンの数を数えたりしますね。




【フ】場にいる同じバトルスタイルの要素を参照するのは僕もよくやる。でもそれは技をミュウに教えたり、フュージョンエネルギーの数を数えたりで、れんげきとは違った形なんだよね。これが連携のための繋がりと、友達としての繋がりのシステム的な違いなのかもね。そして「場に仲間がいると強くなる」がシステム的共通点なんだ。連携するにしても、仲間と遊ぶにしても、仲間が多いと嬉しいもんね。




【連】いちげきのポケモンも群れることはありますよね。イーブイヒーローズの舞台の街に住んでいるいちげきのポケモンは夜な夜なパーティを開いてるって噂ですよ。

【フ】素敵!
【一】馬鹿野郎、どう見てもブラッキーのパワハラ会議の類じゃねぇか。いいか、いちげきのポケモンは基本的に同族としかつるまねぇ。修行の場を同じくすることはあっても、どこぞのナゲツケサルみたく懇切丁寧に進化ライン外のポケモンを指導したりはしねぇ。


和気あいあいもしねぇ。この前もトルネロスがヒバニー達を吹っ飛ばしてたぜ。

【フ】ひどい!仲間を大切に思う気持ちはないの?
【一】大切だとも。だから仲間が傷ついたらきちんとやり返す。大事な仲間を傷つけた報いを与えてやるのさ。もちろん倒れちまったら仇を討ってやる。シバの兄貴やカリンの姉貴も一層気合を入れて手を貸してくれるしな。それが俺たちの絆なのさ。






【連】理解できません。仲間が傷つけられてから、倒されてから奮起するぐらいなら、どうして前もって敵を排除し、あるいは自身とその仲間の能力を向上させようと努力しないのですか?
【一】努力してんだよ!俺たちのイラストを見てみな。何も鍛錬をサボってるわけじゃねぇ。鍛錬はしっかりやって、真面目に戦って、それでもそこにある限界を突破するために感情を爆発させるんだ。小手先の技術だの怪しい薬だのにかまける奴らには辿り着けない境地さ。
【連】確かに味方のきぜつや自身のトラッシュにいるポケモンを参照するテキストはれんげきにとって希少です。ですがそれはより合理的であるがゆえのことです。シャワーズさんなら倒れたポケモンをトラッシュから助け出してくれます。仲間が倒れたことが我慢ならないなら、そのポケモンを救助すればいいだけの話でしょうに。マスタード先生に頼んで助けてもらってもいいですしね。


【一】んな器用なことできねぇっての……マスタード師匠も俺たちの前では倒れた仲間を助けちゃくれねぇし、だいいち怒りじゃポケモンは蘇らねぇんだ。

【連】「怒り」。それがあなたの本質かもしれませんね。いちげきウーラオスさんの髪が逆立っているのも怒髪天のイメージでしょうし。シェイミさんを知っていますか?どこのバトルスタイルにも所属してないんですが、あの方はスカイフォルムになると突然仲間の仇を討ちはじめるそうなんです。初登場の2008年からずっとそうなんですって。





【一】骨のある奴じゃねぇか。気に入った。
【連】でもシェイミさんはただ怒っているわけじゃないんです。そこにあるのは、きっと傷つき倒れていった仲間への感謝なんです。だからシェイミさんは、自分のダメカンを参照してダメージを上げたりはしないんです。それは感謝ではないから。自分が傷ついても怒りでダメージを加算する、あなた達と違ってね。



【一】なるほどな、それじゃあ俺たちとはちょっと違う。ただ一応補足しておくと、俺たちの力になっている感情は怒りだけじゃねぇ。パニックフィアー、しんがりアタックあたりは多勢に無勢な状態でこそ進化を発揮する技だ。もちろんそこに怒りもあるだろうが、メインは自分がなんとかしてやんねぇとっていう使命感と勇気だと思うぜ。


──続いて防御や妨害の手段についてお伺いしたいのですが。
【一】防御か、そうだな。俺たちは普段からヘルガーの咆哮で傷ついて、そうでなくてもよく反動ダメージを受けてるから誤解されやすいが、いちげきのコンセプトと防御は矛盾しない。鍛え上げた強靭な肉体は防御にも有用だからな。とはいえ防御手段を持つポケモンは鋼タイプに集中しているな。どれも鋼の身体で敵の攻撃を弾く奴らだ。


あとは気合で耐える方向性だな。ハリテヤマが攻撃を耐えるのは根性によるもの……つまりは感情だ。そして感情を力に変えるのは俺たちいちげきの専売特許だ。ディアルガが相手の技を封じていたが……あれはバトルスタイルに関係ない本人の資質だ。ジュラルドンのワイドブレイカーと同じく、ここで話す内容じゃあないな。そうそう、エネとスタジアムの破壊もあったな。ぶっ壊せばそれで防御になるんだから楽な商売だ。






【連】私、防御も妨害も大得意ですよ。穴を掘って避ける、ベンチに退く、場から立ち去る、逃げる封じ、特性ロック、プレイヤーへのサポート効果無効、エネ破壊……。先ほど述べましたが回復もそこそこできます。パルシェンさんのダメージ軽減はいちげきポケモンと同じことをやっているように見えますが、パルシェンさんは殻を利用しているのが特徴ですね。身体を鍛えなくたって攻撃は防げるんですよ。








【フ】防御は防御が得意な仲間に任せてるよ。オドリドリのダメ軽減、ハンテールとサクラビスのスタイルメタ、ラティアスの対VMAX無敵。ミュウは山札に戻れるけど、これはミュウ本人の能力なのかな?ミュウらしくれんげきから学んでサイコジャンプ・いちげきから学んでダイミラクルを覚えたとも取れるけど。




【一】俺もれんげきもエネ破壊ができるってのは面白いな。破壊であり相手を翻弄する行動でもあるからか。もっともスタジアムを壊せるのは俺だけだ。他の奴らじゃパワーが足りねぇからな。
【フ】僕のメンバーにはスタジアム破壊も、エネ破壊も得意なポケモンがいないのが惜しいね。今度クレベースやハッサムを勧誘してみようかな。


【一】その変に玄人じみたチョイスはなんなんだ?ギャラドスだのフライゴンだのを呼んでくりゃいいじゃねぇか。




【フ】あなたと違って、僕のメンバーになるにはいろいろ条件が必要なんだ。まずは文明的であることだ。音楽、美術、舞踊、喜劇……人間の文化に習熟したポケモンが多いけど、人間との距離が近いってだけでも加入はできる。飛行機っぽかったり、人間の改造を受けていたりね。氷山空母や鋏ってのはその点ぴったりだ。
【連】パールルさん達やコオリッポさん、フーパさん、そして何よりミュウさんがその法則から外れていますが。
【フ】僕のメンバーには異なるすがたを持つポケモンが多い(別フォルムがカードになることはほとんどなくて、もっぱら異なるフォルムを一枚のカードにまとめて表現しているけどね!)から、その流れだと思う。エレズンから2種類のストリンダーに進化するのも、パールルからハンテールとサクラビスに進化するのも、似たようなものだから。加入の経緯は知らないけど、とてもよくやってくれているよ。コオリッポはブロックスライダーに加えて現代っぽい響きの技、つららミサイルを新しく生み出した。こっちはバニラ技だけど、コオリッポはもう立派なメンバーだよ。

【一】お前のところのポケモンの技、やたらと横文字と新規バニラ技が多いと思ったらそういうことだったのか。巻物から学ばない、マスタード師匠に師事しない、巨人の肩の上に立つことを知らない若造はこれだから!
【連】いちげきさん、概ね私も同意見ですが、落ち着いてください。ところでミュウは?人間の文化との関わりもなければ、フォルムチェンジもしませんよ?
【フ】実はその通りで、ミュウは僕ら全体の中では異質な存在なんだ。「ミュウが様々な仲間から技を学んで戦う」っていうデッキコンセプト上仕方のないことだけどね。ロトムは家電に入りこんで新しい力を得るポケモンだけど、ロトムそのものは家電に関係ない見た目をしているだろう?ミュウもまた、本来接点のないポケモンたちと出会って新たな強さを生み出すんだよ。それこそがフュージョンなのさ。ウーラオスを頂点に戴いてまとまる皆さんとは根底が違うんだ。それにれんげきさんだって、若干浮いてるなってメンバーぐらいいるでしょ?
【連】そうですね。れんげきポケモンの特徴としては、連続攻撃が得意・軟体・群体・連携が得意・素早い・鞭状の身体やパーツを持つ・器用、あるいはそのうち複数というのが挙げられますが、これだけ述べてもまだどれにも当てはまっていないポケモンが水タイプを中心に散見されます。あるいは水タイプというだけでれんげきたる理由になるのかもしれません。
しかしメンバーの無節操さといえばいちげきさんが一番でしょう。それともやはり連続攻撃が苦手・体が固い・孤独・連携が苦手・鈍重・鞭状の身体やパーツを持たない・不器用、あるいはそのうち複数という共通点があるのですか?
【一】一撃が重くて、屈強で、孤高で、仲間に頼らずとも強いって言え!それにうちにはハブネークがいるからな。体の柔らかい奴だっているにはいるんだよ。


【連】そうでした。マグマ団・アクア団の時とはハブネークさん・ザングースさんの属する陣営のイメージカラーが逆になっているのは面白いですね。やはりこれも悪タイプであるだけでいちげきたる理由になる、ということなのでしょうね。
【一】ま、連続攻撃が苦手で不器用なのは否定しねぇよ。俺らの技に「コインを投げて表の数だけダメージ」は一切存在しねぇし、相手のベンチポケモンに干渉できる効果は192枚(イラスト違い含む)中でもブラッキーVMAXだけだからな。ガハハ!
【連】それであんなに険しい顔をなさってたんですね。

──それぞれのメンバーの方向性が見えて面白いですね。続いて、皆さんの擁する特殊エネルギーについて、いろいろお聞きしたいのですが。特にインパクトエネルギー・スパイラルエネルギーに関しては「追加効果がニッチすぎる」と心ないファンの声も多かったと記憶しています。
【連】特殊エネルギーですか。れんげきエネルギー・いちげきエネルギーについてはみんな納得してくれていたのですけどね。れんげきエネルギーは水と闘タイプとして働くエネルギーが2個"連"なったものです。連撃って感じでいいですよね。

【一】いちげきエネルギーは"一"個分の働きしかしねぇが、力を底上げしてくれる。一撃って感じでイカすだろう?

【フ】僕にはそのポジションのエネルギーがないから、話を聞いていて新鮮だよ。聞いている限りでは問題なさそうだけど。
【連】そしてスパイラルエネルギーはマヒを防いでくれます。しなやかな身体であればマヒになりませんからね。

【一】そしてインパクトエネルギーはどくを防いでくれる。丈夫な身体であれば毒に侵されることはないからな。

【フ】ニッチすぎるよ。
【連】あなたのように性能に振りすぎるよりは、フレーバーに力を入れる方がずっといいと思いますよ。何ですか「特性の効果を受けない」って。クイックシューターを撃たれたくないです!ってことしか伝わってきません。

【フ】ちょっと待って!確かにクイックシューターを撃たれたくもダークシグナルを受信したくもないけれど、特性の効果を受けない能力は、古代能力であるθストップを除けば常に文明とともにあったんだ。メタルゴーグル、隠密フード……これは僕にふさわしい効果だよ。


【連】アーマーガアVMAXは?文明というより強靭な肉体で効果を弾くタイプではないのですか?いちげきさんに近いポケモンですよ。

【一】あいつは好かん。ラスターボディったって硬いのは外っ面だけだろう。れんげき、お前の領分だ。
【フ】アーマーガアの身を守っているのは筋肉でも外殻でもなく鎧だよ。タクシーもやっているし、文明との、ひいては僕との距離は近いと思うよ。人間の文明と関わりの深い金属によって身を守るのはフュージョン的なのさ。ゲノセクトのようにね。
──そろそろ対談も終わりに近づいてきたところですが、これまでデオキシスさんの話が出てきていませんよね。

【一】何なんだあいつは。
【連】そう焦らないで。まずは公式サイトの説明を読みましょう。
デオキシスは、「いちげき」のポケモンであり、「れんげき」のポケモンであり、さらに、「フュージョン」のポケモンでもある。
それぞれのバトルスタイルの恩恵を受けることができ、さらに、フュージョンエネルギーがついていれば、ワザ「フォトンブースト」で160ダメージ!
──だそうです。
【一】何も伝わってこねぇぞ。
【フ】デオキシスなんだけど、個人的にデオキシスは「いちげき・れんげき・フュージョンの特色を兼ね備えた存在」というよりも「いちげき・れんげきの力も身に付けたフュージョンポケモン」という方がしっくりくるんだよね。僕もデオキシスが何者かは知らないんだけど。
【連】ええ。バトルスタイルを持っていることを除けば、デオキシスさんのテキストにいちげき・れんげきらしさはありません。デオキシスさんのウネウネとした腕は魅力的ですけど。
【フ】それにゲノセクト・フーパ・メロエッタと同じく、すがたが変わる幻のポケモンでもある。DNAは生命の誕生近辺からずっと存在しているけど、概念としては現代的なものと言っていいしね。人間の文明、科学の産物だ。
【連】他のカードに映り込んでいませんから、交友関係は不明ですね。ぜひ一緒に鍛錬したいものです。
【一】結局何もわかってねぇじゃねぇか。
──まだまだお聞きしたいことは尽きませんが、これにて対談を終了したいと思います。最後に読者の皆さんに一言お願いします。
【一】いちげきは誰でも歓迎だ。パワフルな奴ならなお良しだ。
【連】れんげきはより良い連携と勝利を求めています。ヨロイ島、カンムリ雪原、イーブイヒーローズの舞台の街、摩天パーフェクト/蒼空ストリームの舞台である崖の多い謎の場所でお待ちしています。
【フ】僕の仲間になりたいみんな!シュートシティで待ってるよ!大丈夫、きっと仲良くなれるさ。ミュウのお眼鏡にかなえばね。
──ありがとうございました。