【ポケカ・MTG】今日のn枚
ポケカとMTGのカードについて適当に書き溜めてまとめて公開するやつです。
フライゴン(ムゲンゾーン)
フライゴンといえば砂漠のドラゴンであり蜻蛉な精霊(じめん/ドラゴン/むし/フェアリー/ひこう)と属性が渋滞していることで有名ですが、このフライゴンは砂漠成分にフォーカスしています。
技が2つあるのなら、片方は弱そうな技名でも見た目が悪くならないのですが
『デザートゲイザー』は過去のフライゴンが持っていた『すなのかべ』と完全に一致した効果。おそらくは2進化の主力技が『すなのかべ』では格好がつかないという判断で名前を変えたのでしょう。面白いのはこの変更によって「スタジアムを別のフィールド(砂漠)で上書きする」というイメージが強まったこと。破壊ではなく置き換えるフレーバーのスタジアムトラッシュ技としてはグレイシアVの『ホワイトアウト』の印象が強いのですが、起源としてはこのフライゴンかもしれません。特性の『すなのめいきゅう』がこのフライゴンは戦場を砂漠に変えるんだぞ!と主張していい味を出しています。『すなのかべ』だと相手の攻撃を砂で受け止めているイメージですけど、これを図鑑説明通り「砂漠では見つからない」に近づける変更といえます。いやまあフライゴンって特性すながくれでもないし特に砂嵐とシナジーないんですけどね。聞いてるかキバナ。
「ホワイトアウト」とは、雪や雲によって周囲が識別できなくなる現象のこと、だそうです。うわあああ《頂への雪道》が雪で機能しなくなってしまう!!!
なお破壊っぽくない名前のスタジアムトラッシュというのはそこそこ前例があり、ゴチルゼルの『テレポートルーム』は戦いをまるごとテレポートさせるというフレーバーでしょう。行き先がトラッシュにあるスタジアムなので「すでに訪れた場所」でありテレポートの行き先として適切っていうのも好きポイント。
一方でテッポウオの『イオンプール』は……何を表してるのかわからん!!このカードはXY BREAKの自然と人工、二つの異なる世界に生きる同じポケモンを収録するキャンペーンの一環で、自然側テッポウオの『ワイルドリバー』はまあ川の流れに乗って移動するんだなで納得できるんですが、イオンプール……?環境破壊的な……?そもそも「イオンプール」って何だよ。検索してもイオンのプールしか出てこないが?
続きを読む【ポケカ・MTG】サイクルいろいろ
ポケカとMTGの「サイクル」について雑多に書く回です。サイクルとはなんぞや、みたいな方にも楽しめるよう一応の配慮をしました。
- ボルトルネランドのメガ・メガサイクル
- 「テーロス還魂記」エルダー・タイタンサイクル
- 「金の空、銀の海」ジョウト御三家サイクル
- 「まぼろしの森」「ホロンの研究塔」「さいはての攻防」ひかるつのメガサイクル
- 「ストリクスヘイヴン:魔法学院」2色神話レアサイクル(?)
- おわりに
ボルトルネランドのメガ・メガサイクル
それは運命的な出会いでした。
輸入品を扱うカードショップにてこの商品を見かけ、
「なんでこいつらを顔役にしてセット商品を作ろうと思った!?」
「なんでコインがカメックスなの!?」
「LEGEND以前のキラ仕様じゃん、ちょっと欲しいな……」
「こいつらメガ・メガサイクルだったの!?」
と様々な思いが立て続けに去来しました。
続きを読む【ポケカ】バトルスタイル三者対談
──まずは招待に応じていただきありがとうございます。軽く自己紹介をお願いします。
【いちげき(以下「一」)】いちげきだ。『「強さ」だけを追求し、最高の一撃を極めるバトルスタイル。鍛え上げられた強靭な肉体を使った攻撃を得意として』いる。
【れんげき(以下「連」)】れんげきです。よろしくお願いします。『予測不可能な動きで敵の虚をついて、柔軟で鋭いワザを浴びせかけるバトルスタイル。アクロバットで自由自在な攻撃を、臨機応変に繰り出していきます。』
【フュージョン(以下「フ」)】僕がフュージョンだ。『この世に存在するあらゆるものを戦いに取り入れ、「新しい強さ」を生み出すバトルスタイル。決まった型にとらわれず、それぞれが最強と信じて磨き上げたワザで戦う。』
──バトルスタイルの特集ページ、最近まで更新されてたんですね。
ひとまず本対談の趣旨を説明したほうがよいでしょう。この架空の対談はポケカの親にあたるマジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)公式のカラーパイ擬人化記事のパロディです。カラーパイとはカードゲームのプレイの多様性に大きく貢献する、色ごとに存在する特徴とその背景にある思想を指します。例えば赤という色はMTGのゲーム上では速攻クリーチャーと火力に優れた色であり、赤を使うことで手早く勝負を決めるアグロ戦略が容易になります。
これだけではただのゲームの都合ですが、ここに赤という色に付随する炎・自由・破壊・衝動などのイメージが加わることで、「赤単色の、自由を尊ぶ粗暴な紅蓮術師」のようなキャラ造形が可能になるとともに、「俺はせっかちで考えるのが苦手だから赤単デッキを握るぜ!ケヒャヒャ!」といったふうにプレイヤーのロールプレイをも後押しします。とはいえカラーパイの後ろにあるのはある種強引に5つに切り分けられたむき出しの思想であり、その総体を捉えるのは困難です。そこで公式が出している、各色のカラーパイを擬人化してインタビューする記事が理解の助けになるんですね。
そこで今回はこれをポケカでやってみよう!という企画なわけです。ポケカにおいて色に相当するものはタイプなわけですが、これが……
続きを読む【ポケカ】なぜレックウザVMAXはれんげきなのか?
はじめに
ポケモンカードゲーム ソード&シールドの2年目が終わろうとしています。
この一年はまさしく「バトルスタイル」の年でした。ウーラオスのフォルムの名前でしかないはずの「いちげき」「れんげき」という概念はポケカにおいてハチャメチャに濫用され、「鎧の孤島」はおろか「冠の雪原」要素まで呑み込み、結果としてガラル地方の田舎はどこも謎の武術集団が闊歩する魔境みたいなことになってしまいました。コレクター・ライト層を第一のターゲットに定めたパックであるはずの「イーブイヒーローズ」にさえかなりの数のいちげき・れんげきカードが含まれていたという事実は2年目の傾向を強く示すものといえるでしょう。カードをコレクションの対象としてしか見ない人にとって、ポケモンの色味を無視してデカデカと書かれた「いちげき」「れんげき」のマークは余分なノイズでしかないでしょうから。
さて、かようにして推されに推されたバトルスタイルですが、時が進むにつれて不満の声がポツポツと増えていたように思います。曰く、「いちげきが弱すぎる!」「どうしてこのカードがいちげき(れんげき)なんだ!」と。前者については専門外なのでこれ以上語らないとして、後者の最たるものはタイトルにもした《レックウザVMAX》でしょう。最近ではめっきり見なくなりましたが、発表当初はかなりのブーイングを受けていた印象があります。
《溶接工》により炎エネルギーを、あるいは《モココ》の『エレキダイナモ』により雷エネルギーを大量に溜め、超高火力の『ダイバースト』をぶっ放すその姿は、どう見ても「れんげき」ではありませんでした。《カラマネロ》が溜め込んだ手札を『れんげきテンタクル』で一気にダメージに変えているのを見てもなお「カラマネロは山札に戻してるかられんげき!セーフ!」とだいぶ無理筋の擁護をしていた自分でも匙を投げる、燦然と輝く「トラッシュ」の文字。《モココ》と《レックウザVMAX》の組み合わせは《ヘルガー》と《いちげきウーラオスVMAX》とやっていることが殆ど変わりなく、もはや公式はいちげきを完全に見捨て、溜めて殴るといういちげきの基本戦術すられんげきに明け渡したのだ……
……と思っているのなら記事を書く必要はないわけです。《レックウザVMAX》は確かにれんげきのカードであり、むしろれんげきとは何であるかを知る大事な手掛かりになる存在であるというのがこの記事の結論になります。
続きを読む【ポケカ】土地・エネルギー・ブンドド
【ポケカ】剣盾1年目の豊かな表現を含んだカード
はじめに
2020年、ポケモンカードは虚無に包まれていた。
ポケモンカードは時折、あらゆるゲームの宿命としての複雑化から逃れるため、大胆なリセットを行う。
前回のリセットはDPt~LEGEND期だ。DPtでのSPポケモンの導入を前兆としてゲームはより単純な方向へと向かい、LEGENDではキラレアの一部までバニラに成り果て、BWでは戦いの主役からカードを重ねるシステムが追い出された。
その後紆余曲折ありつつも10年近くかけて増大したポケカの複雑さはSMで頂点に達し、TAGTEAMの登場を経て剣盾期での再びの単純化が始まった。個性ある刺激的な効果に満ちたGXの後釜に座ったのは数字の大きさがコンセプトのV/VMAXで、非ルールの半数は「三神落ちたら楽しそう」の言葉のもとプレイヤーに見放され、もう半数は開発側にも見放され、一ミリもポケモンの個性にかかっていないテキストと一切のチャンスのない性能を持つことを余儀なくされた。新しく現れる環境級カードはどれもが良く言えば過去の総決算、悪く言えば焼き直しであり、ストレージは溢れ、「しつこい ポケモンの絵が書かれた紙を売ってるだけのコンテンツに一般的なカードゲームとしての価値を求める方が異常者なのだ」という言説が説得力を増すかに見えた。
だが……奥深いフレーバーを持つカードは死滅していなかった!!
本記事では剣盾1年目、特に中期あたりの面白めなカードを軽く紹介する。
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